【蓮の葉包みの中華おこわ】誕生までのお話
Date:Nov 6, 2019 (Wed)
芳泉茶寮として活動を始めた直後、地元の有名なイベントへの出店のお誘いをいただきました。
初めての出店。
何を持っていけばいいのかな?といろいろ考えた末に持参したのは「蓮の葉包みの中華おこわ」でした。
60個ぐらい作って持っていきました。
イベントというものに全然慣れていなかった私たち。開始直前になっても店のディスプレイすらできていなくて、そんな状態で開始時間を迎えてしまいました。
あっという間にお客様に囲まれて、飛ぶように旅立った「蓮の葉包みの中華おこわ」
以来、芳泉茶寮のイベント出店では必ず毎回作っていくおこわ。
出来上がるまでのストーリーをお伝えしたいと思います。
【おこわのタレの仕込み】
時間がある時にコツコツ行うのは、中華万能タレの仕込み。
このタレは「スペアリブのタレ(中華万能タレ)」の名前で販売しております。
この特製のタレの仕込みは、まずスパイスなどの計量から始まります。
桂皮や八角、甘草、フェンネル、陳皮、コリアンダーシード、朝天唐辛子などなど。
漢方の先生に、このタレは凄いね!とびっくりされたことも。
甘草やフェンネルなどが消化を助けてくれたり、陳皮や桂皮が温めてくれたり、など、食べると身体の助けになる力があるとのお話をしていただいたことがあります。
私自身、消化が弱いのですが、このおこわのタレでスペアリブや煮豚を作った際には胃がスッキリして負担感がありません。
山盛りスパイスとともに波照間島の黒糖や生姜などをミックスしてお醤油とともに約2〜3時間煮込んでから2度濾してタレの完成です。
このタレは濃縮されているので、煮豚を作る際などには2-3倍に薄めて使うことが出来ます。
スペアリブのタレとしては直接漬け込んで焼いていただくと、そこはもう中華世界🇨🇳🐼の香りです!
【蓮の葉を茹でる、切る】
中華おこわ作りの際は、乾燥されている大きな蓮の葉を茹で、一枚を5〜6枚に切っておきます。
本当は、地元で栽培される蓮の葉を使いたいのですが、以前挑戦してみたところ葉っぱが立派すぎて厚みがあってゴワゴワしてしまうのです。
また、蓮の葉がきれいな状態な時に葉を取ってしまうということは、肝心な蓮根の成長にとって痛手となります。
ということで、「食材」として販売されている蓮の葉を仕入れて使っています。
乾燥した蓮の葉を熱湯で10秒ほど茹で、それを5-6等分に切っておきます。おこわを包む前には軽くごま油を刷毛で塗り、その上にご飯を載せて包みます。
【おこわの具】
芳泉茶寮の中華おこわはきのこや蓮根を使って作りますが、使うきのこは椎茸、舞茸、アワビ茸の3種類を使います。ダシがたっぷり出て、香りも良いので、この組み合わせが気に入っています。
お米も地元長南町で農薬不使用で育てられたお米と餅米。玄米で購入したものを作る直前に五分搗きにしています。
特製のタレと丸中醤油を使ってキノコや蓮根を煮て、そこに浸水しておいたお米を入れて炊きます。
蓮根を入れるのは、蓮根が旬を迎える11月ごろから2月ごろまでの限定です。
【一つ一つ包みます】
ほぼ火が通ったおこわに低温圧搾のごま油をひとたらしして蒸らしてから、蓮の葉にひとつひとつ包みます。
1つ160g。ご飯を計る人、包む人、に分かれての作業です。
包み終わったおこわは1つの蒸篭に6個づつ整列してもらいます。
蒸気の上がった鍋に乗せ、5分ほど蒸して蓮の香りが感じられれば完成です。
【美味しい食べ方】
この中華おこわには、芳泉茶寮特製の辣油がとーってもあうので、辛いのが苦手でなければぜひ一緒に召し上がっていただくのをおススメしています。
冷凍保存が可能で、蓮の葉に包まれたまま蒸篭で15分ぐらい蒸していただくと、蓮の葉の香りをまとった本格中華おこわがすぐに食卓に並べることができます。
急なお客様とか、休日のブランチ、持ち寄りパーティーの時などとてもお役立ちです❣️
【おこわのタレ、誕生のストーリー】
このタレを作りはじめたのはもう20年近く前。ロンドンに住んでいた時、インド街で手に取った「Licorice」とラベルを貼られた木の枝のよなものが気になって、使い方も知らずに買ったのです。
日本に帰国してから、オーストラリア人の友人に「ロンドンで買ってきたスパイスなんだけど、どうやって使ったらいいかわからないの」と話すと、彼女が持ってきてくれたのは分厚くてとても大きな「スパイス辞典」でした。もちろん英語。当時まだ日本語でスパイス辞典というものはなかったと思います。
そして、Licoriceを調べたところ、それは「甘草」だと知りました。漢方で時々耳にするけれど、まったく使い道がわかりません。
スパイス辞典には甘草を使ったさまざまなレシピが載っていました。その中に一つに、スペアリブのタレ、というのがありました。見てみると、手元にあるスパイス類で作れそう。そこでこのタレを作ってみようと思ったのが始まりでした。
タレができあがり、スペアリブを漬け込んでオーブンで焼いて食べてみたところ、感動的な美味しさでした。お店でしか食べられないような深みのある味。
そのタレを使って煮豚を作るのも絶品で、中華まんじゅうに挟んで食べるのは一番のお気に入りでした。
このタレを使ったおこわを創り出したのは料理教室を開催していた当時。料理クラスでこのタレを紹介するのですが、使うスパイスの種類が多すぎて、普通の家庭では作りにくい、という、ちょっと不評なレシピでした(笑)。
ということで、このタレを販売して欲しい、とよく言われたものですが、当時は飲食店免許ももっていませんでしたので、販売することはできませんでした。
点心のクラスでもこのタレで作るおこわや煮豚は大好評でした。
当時はこのタレをつかった蓮の葉包みの中華おこわをこんなに多くの方に召し上がっていただくとになるなんて、夢にも思っていませんでした。これからもみなさんにこの「タレ」や「おこわ」をご愛用いただけたら嬉しいです。